フルローンを受けるには10

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 不動産投資に関わっている人達が良く使う「属性」という言葉は、元来住宅ローンの世界の用語でした。住宅ローンですと、勤務先がどういうところで、年収がいくらかということが非常に重視されます。不動産賃貸事業資金の融資の返済原資というのは家賃なのですが、スルガ銀行のアパートローンとオリックス信託銀行の不動産投資ローンでは、融資対象物件の家賃収入が入ってこなくても本業の収入から返済できるかという観点から審査がなされます。それゆえ、年収の10倍とか20倍とかいった融資上限額の目安がある訳です。審査基準が住宅ローンの発想に近く、そこでは、「属性」が重要になります。
 確かに、家賃収入が予定通りに入ってくるとは限りません。不測の事態により家賃収入が入ってこなくなる恐れがあります。それを回避するのが分散投資です。株式投資でも分散投資の手法が昔から行われていますね。百万円で一銘柄の株を買ってその会社が倒産してしまったら百万円がゼロ円になってしまいますが、投資信託で数十銘柄に分散投資されていれば、たとえ1社が倒産しても投資額がゼロになることはありません。
 日本の不動産賃貸業は長期保有して賃料収入を得ることが目的ですので、保有期間中の不動産価格の上下は通常あまり気にしません。賃貸収益が重要になります。大きな事故等が起こり賃料があまり入ってこなかったり、経費がかかったりした場合、1,2物件しかもっていないと返済不能に陥り易くなります。
 
 私は未だ事件・事故は経験していませんが、4戸のアパートで、1,2か月の間に偶然3戸が空いてしまったことがありました。1戸分の賃料では返済ができません。また、1戸約80平米の部屋に長期間入居していた世帯が数世帯同時期に退去し、原状回復費用が300万円位かかった事もありました。その支払い月のキャッシュフローはマイナスになりました。しかし、他の不動産からの収益を充てて無事に乗り切ることができました。
 私のことを知り、年収数百万円の自分が融資に苦労しているのになぜ無職の石渡が高額の融資を受けられるのかと疑問を呈している方がいますが、私は無職ではありません。不動産賃貸業で、その方をはるかに上回る年収を得ています。
 いわゆる「属性」の良い人向けに「財テク」のための融資をしているスルガ銀行とオリックス信託銀行の融資姿勢が余りに世の中に広まった結果、他の金融機関が事業資金として事業者に不動産購入資金を行っている実状が、あまり見えなくなっているのだと思います。
 不動産収入も立派な収入です。その収入が多ければ、また、所有不動産の数が多く分散投資が行われていれば、新たに融資をする金融機関もより安心して融資できます。融資が厳しくなった昨年以降も私に融資をしてくれている金融機関は、その点に着目して評価してくれているのです。一方で、不動産賃貸事業の経験の無い「属性」の良い人がその金融機関にいきなり高額物件のフルローンを申し込んでも、受付すらしてもらえないでしょう。
 例えば、2億円の融資を25年、3%、元利均等返済の条件で受けると、年間返済額は826万円になります。この物件の満室時家賃が1,800万円で、空室損と運営経費を引いた収益が1,260万円とします。この物件しか持っていないと、何かのアクシデントで収益が半減した場合、家賃からの返済ができませんね。年間給与収入千万円の上場企業サラリーマンと言っても、給与収入が下がらないという保証は無いし、手取り700万円でそこから住宅ローンを返済して子供の学費を払って生活費を出したら幾らも残らないという人は多いと思います。返済できないから売却すると言っても、収益不動産をその1件しか持っていない場合、収益が悪化したその不動産が買値以上で売れる可能性は低く、市場で売れる価格では残債の返済ができず、売るに売れないという事態に陥ります。いくつも収益不動産を持っていれば、完済して資金が残る物件や融資を受けずに買った物件を売却して、問題の売却損を補うことができますが、サラリーマンが高額物件を1棟だけ持っているという場合には、そういうこともできません。
 今回の結論として、不動産賃貸事業の収益が多く、小口分散投資が行われている場合には、それらの点を評価して融資をしてくれる金融機関が見つかり易く、特に高く評価してもらえれば、新規購入物件の購入価格が担保評価額を超えていても、フルローンを受けられる可能性があります。
 ただし、金利が上昇すると、いくら分散投資をしていても利益が減り、程度によっては返済が苦しくなります。あるいは、私が死んで事業が継続できなくなる可能性もあります。そうなると、売却して返済することになり、そこで問題になるのが、売却して完済できるかどうかです。金融機関はそこまで想定して融資をしています。ただ単に借り入れで事業規模を拡大して収入・収益が多いだけの投資家(数年前の融資審査が緩い時期には投資規模の拡大が容易でした)は、融資を受けるのが難しくなっています。どういうことか、次回に続きます。
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