銀行員のために作る決算書と個別注記表

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 税理士の中には税務申告のために決算書を作ると考える者が少なくありません。しかし、私たち経営者は税務署のためではなく、株主や債権者等利害関係者のために決算書を作ります。財務会計のテキストでも、その目的を株主や債権者等利害関係者のためとされており、税務署や国税庁のためとは全く書かれていません。
 私が経営している会社は株主が私だけのいわゆる一人会社です。そして、役員等経営陣も利害関係者ですが、役員も私だけです。そのため、私は債権者、すなわち、融資をしている銀行や信用金庫のために決算書を作っています。税務申告時にそれを税務署に提出することにはなりますが、税務署は税額が変わらなければ決算書の中身を問いません。一方、金融機関では、決算書がどのように作られているかによって、次期以降に融資が受けられるかどうか、また、どのような条件で受けられるかが、かなりの部分決まってきます。
 ですから、不動産賃貸業のように融資を受けて事業拡大する産業の経営者にとっては、決算書をどのように作るかが非常に重要なのです。当期純利益の額が同じであっても、決算書にどのように書くかによって、銀行が融資先企業に付与する格付けが違ってくるのです。
 格付けは銀行本部のコンピュータが出しますが、元データを作成するのは支店の営業担当者です。銀行員は企業から提出された決算書を実態ベースに修正してコンピュータに登録します。経営者が、実態が良く分かるように決算書を作って十分な個別注記をすることで、銀行員はその作業をし易くなります。
 また、個別の融資稟議では、格付に反映されなかった実態の財務内容も重要になります。コンピュータが出した格付けが正常先の一番下だからといって、低利で融資を受けられないという訳ではありません。しかし、ここにおいても、銀行員が稟議書を書く材料、すなわち、格付けは低く決算書はこうなっているが実態はこうだから融資して支障ない、と銀行員が作文するための資料が重要になります。
 昨日の記事で書いた、有能な信金支店長の「『租税公課』の明細を出して下さい」という一言は、実態把握のためものでした。
 すなわち、決算書の販売費・一般管理費の内訳においては、固定資産税も不動産取得税・登録免許税も「租税公課」科目に入っていたので、そのまま財務分析をすると、不動産取得税・登録免許税も含めてその年の租税公課の金額がその後毎年かかるものとして計算されてしまいます。しかし、実際にそうではありません。その支店長さんは、「租税公課」科目に一過性経費である不動産取得税・登録免許税が含まれているだろうことを見抜き、その一言をおっしゃったのです。
 それを受けて総勘定元帳の抜粋をコピーして提出したところ、不動産取得税・登録免許税は一過性経費としてあたかも特別損失であるかのような財務分析を行い、融資をしてもらえました。
 しかし、どの金融機関もそこまで親切な訳ではありません。また、営業担当者がそこまでの能力を持っているとは限りません。そのため、固定資産税等の本当に経常的な支払とは別に不動産取得税と登録免許税の支払があることを、決算書を受け取る銀行担当者に理解してもらう必要があるのです。
 その信金支店長の一言を受けて、その期以降、私は税理士と相談して、「租税公課」の中の登録免許税・不動産取得税の金額を個別注記したり、「租税公課」科目には不動産取得税・登録免許税は含めないで別途「不動産取得税・登録免許税」という科目を新設したり、と工夫してきました。担当の銀行員のために分かりやすい決算書と個別注記表を作ることで、融資が受けやすくなるのです。
 これによって、登録免許税・不動産取得税を損金経理して税引後キャッシュフローを多くしつつ、融資審査で、登録免許税・不動産取得税を費用処理することによる悪影響を軽減させることができました。
 もっとも、全ての銀行でこれが通用する訳でもありません。特に都銀では、中小企業のために実態を見て財務面でプラス評価するというやり方をあまりとってくれないので(減算はするのでしょうが)、個別注記や決算書上の科目分けに頼らずに、決算書の表面上の数字を良くする必要がありました。
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