最近の金融庁の金融行政について3

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 私のところには毎週のように銀行・信金マンが訪問します。地域のほとんどの金融機関から融資を受けていますので。昨年12月に経営者保証ガイドラインが正式に公表されてからは、その話題も出ます。そうした会話の中から、銀行が法人融資に際して個人保証を取る理由として、法人が債務不履行に陥った際に経営者個人から回収すること以外の意図が感じられ、十数名の営業マンと話す中で、自分なりに、その理由として次に述べる3点を整理しました。
 理由の一つは、銀行は、代表者が取締役としての責任をもって経営に当たるという経営者責任を前提に融資しているからです。中小企業は個人資産と法人資産とが分離している場合であっても、株主と取締役が身内で占められているのが一般的であり、その点大企業とは性質が異なります。株主から責任を問われることはまずなく、仮にあるとすれば、故意または重過失に起因する第三者への責任です。経営者の責任で法人への貸金を回収できなくなった場合、銀行は会社法に基づき経営者個人の責任を追求することも可能ではあるが、現実問題として裁判での立証には大変な労力を要し、それを分かっている個人保証していない経営者が法人で融資を受けて放漫経営するというモラル・ハザードが生じる恐れがあります。適切な経営をしなければならないとの自覚を経営者与えるという意味で、銀行にとって代表者保証は有意義であり、仮に代表者の代位弁済能力が不十分であったとしても全財産を失い破産手続き等をとるといったリスクを負いながら経営に専念する社長は、そう簡単には経営に失敗しないものです。
 第二の理由は、代表者の経営手腕が高いという定性的要因によって融資判断をすることが中小企業への融資では多い中での、会社の譲渡等による経営者変更に対する銀行の不安を補うためです。信用金庫や信用組合は別として、銀行の融資審査は定量分析が中心となっています。しかし、過去の定量分析データが良くてもそれを支えているのが経営者の力量であるとすれば、いくら法人と個人とが経営上分離していると言っても、経営者が変わった後に債務を適時弁済できるかどうかは不透明です。
 第三の理由は、遺族に連帯保証債務が相続されることによる事業継承者の確保です。中小企業の株主は代表者一人のこともあり、そうでなくても数人の身内で株式を持っていることが多いです。すなわち、役員とその家族が株主です。そうすると、個人保証をしている代表者が死亡すると保証債務が相続されるが、この際株式の相続もなされ、遺族が連帯保証債務者と株主とを兼ねることになります。そこで、遺族は連帯保証債務問題の解決のため、株主総会を開いて新たな代表者や取締役を選任して会社を機能させ、会社が債務弁済をする方向で行動するでしょう。もし個人保証が無ければ遺族は知らぬ存ぜぬとなるところ、相続される保証債務があることで、代表者死亡後の会社が存続するのです。
 このように、銀行が経営者保証を取ることには意義があり、それをしないでの融資、あるいは、経営者保証を付けても将来保証債務が限定される恐れが高い中での融資は銀行にとって従前と比べればリスクが高く、それゆえ同じ借主に対してであっても融資に慎重姿勢になる銀行も出ることでしょう。もしそうなれば、本来融資すべき中小企業に対して資金が回らなくなることを意味します。
 とはいえ、銀行は金融行政に従わざるを得ない立場にありますし、低金利の中で利益額を増やすためには融資量を拡大する必要があります。一部の銀行は中小企業への新規融資を増やすでしょう。その中には、適切に事業性審査や資産査定をせずに、また、経営者保証についてのルール変更をリスクに織り込まず、金融庁や株主に対して貸出実績を示すことを優先して融資拡大に走る銀行も予想されます。この行動は貸し手である銀行のモラル・ハザードであり、さらに、それに乗じて過剰な融資を受けようとする借り手のモラル・ハザードと相成り、間接金融市場で市場メカニズムが正常に機能しない結果となりかねません。
 では、結局私達は融資は融資を受け易くなるのでしょうか。また、そのためにはどうすれば良いのでしょうか。こうしたことにご関心のある方は、
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