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2015年07月12日

融資を意識した登録免許税と不動産取得税の会計と税務



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 登録免許税は不動産購入時等の登記申請に必要な税金です。不動産取得税は所有権移転登記が完了して数ヵ月後に、都道府県から課税される税金です。これらは、不動産賃貸業者のみならず、売買業(宅建業者)やマイホーム購入者からも、嫌がられる存在です。税金を払うのは誰もが嫌なものでしょうが、これら税金は、金額が高額になりがちなことと、不動産購入時の融資に含めて借りられないことが多く自己負担から出さなければならないことで、不動産購入者の「敵」のような税金です。

 現在の税率は、課税標準額に対して、建物の登録免許税が2%、土地が1.5%、そして、建物(住宅用家屋)と土地の不動産取得税がそれぞれ3%です。課税標準額は原則として固定資産税評価額なのですが、時限立法で現在のところ土地の不動産取得税のみ固定資産税評価額の1/2が課税標準額になっています。

 そうすると、固定資産税評価額ベースで登録免許税と不動産取得税の率を出すと、建物(住宅用家屋)が5%、土地が3%となります(自己居住用等の特例を使わない場合)。物件により建物・土地それぞれのウェイトは異なりますが、どのようなウェイトになっても、土地建物合算固定資産税評価額の3-5%が登録免許税・不動産取得税となります。

 もし固定資産税評価額と売買価格が同額だとすれば、売買価格の3-5%が登録免許税・不動産取得税の負担となります。不動産は個人であっても数億円の取引額に及ぶものです。ですから、登録免許税・不動産取得税の絶対的な金額は大きくなります。数億円規模のマンション一棟を買うと、直ぐに千万円以上の登録免許税・不動産取得税がかかってきます。

 中でも不動産取得税は購入の数ヵ月後にかかってきますので、購入資金の融資対象から除外されがちです。諸経費まで含んだ融資であっても、金融機関は融資実行時または実行後速やかに融資金分の領収書を求めますので、半年後位に課税される不動産取得税分を先に融資するというのは、金融機関から抵抗感を抱かれてしまうのです。この傾向は、多かれ少なかれ、住宅ローンでもアパートローンでも、事業者向け融資でも、共通してあることでしょう。

 そして、私たち不動産賃貸業者にとって厄介なのが、登録免許税・不動産取得税と同様に営業上の費用である販売費・一般管理費にするのか、それとも、仲介手数料と同様に資産、すなわち売買価格等と合算して取得価格に算入するのか、という問題です。前者の場合、課税された期の費用となり、税務上の損金として益金から差し引かれて所得が計算されます。法人の課税所得が低くなる分、法人税等の額も安くなります。そうすると、登録免許税・不動産取得税が販売費・一般管理費に入っているインパクトは大きく、特に、当該物件の相対的規模が大きい会社になりますと、その大きさゆえに経常利益が赤字になることもあります。

 このように登録免許税と不動産取得税とその期に費用で落とすと、そのまま税務上の損金になりますから、大きな節税ができます。もし資産計上したならば、建物分の税金は長期で減価償却していき、土地分の税金は売却まで資産計上が続くことになります。そうすると、購入した期やその翌期は、登録免許税や不動産取得税を払う上に、その分が所得から全く減算されずに法人税等がかかってくるので、二重課税になってしまいます。そのため、キャッシュフローを多く残したい場合には、資産計上して将来費用にするのではなく、購入した期または翌期に課税されたときに費用にすることで、節税公課が高くなります。

 けれど、不動産を取得したことに伴い発生する登録免許税・不動産取得税は、不動産本体を取得したのと同様、その影響(賃貸経営がうまくいけば恩恵)は、単年度では終わらず、当該不動産保有期間中ずっと続くものです。それは仲介手数料も同じです。なぜ仲介手数料は資産に算入しなければならないのに、登録免許税・不動産取得税は資産に算入しなくても良いのでしょうか。

 ここには、法人税法があります。まず法人税法施行令の定めを紹介します。

(減価償却資産の取得価額)
第五十四条  減価償却資産の第四十八条から第五十条まで(減価償却資産の償却の方法)に規定する取得価額は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一  購入した減価償却資産 次に掲げる金額の合計額
イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(関税法第二条第一項第四号の二 (定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
ロ 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額


ここが税法上の根拠となり、建物購入時の仲介手数料は資産となります(なお、土地購入時の仲介手数料が税務上資産となる根拠は、法人税法基本通達7−3−16の2の「減価償却資産以外の固定資産の取得価額については、別に定めるもののほか、令第54条《減価償却資産の取得価額》の規定及びこれに関する取扱いの例による。なお、資本的支出に相当する金額は当該固定資産の取得価額に加算する」と思われます)。しかし、登録免許税と不動産取得税については法令への記載がありません。ではどう考えられば良いのか。これについての国税庁の見解が法人税法基本通達として表明されています。

 すなわち、「固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示」として、次の定めがあります(基本通達7−3−3の2)。

次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。
(1) 次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
ニ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
(2) 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額
(3) 一旦締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額


 この通達にて国税庁が登録免許税と不動産取得税を「取得価額に算入しないことができる」と明示したので、節税したい法人は、不動産本体と登録免許税・不動産取得税とを区分して、後者にかかる支出は、費用・損金にする訳です。

 しかし、なぜ仲介手数料は取得価額算入が義務付けられているのに、登録免許税・不動産取得税は算入は任意なのでしょうか。企業会計原則ら言えば、どちらも取得価額にすべきでしょう。すなわち、「有形固定資産の取得原価には、原則として当該資産の引取費用等の付随費用を含める」(企業会計原則五D)と定められいる「付随費用」に当たるからです。そして、法人税法では政令において「当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額」を取得価額としており、会計原則の「付随費用」と法人税法施行令の「当該資産の購入のために要した費用」とは同義と言えましょう。

 ここで、「企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書 第三 有形固定資産の減価償却について」を見てみましょう。固定資産の取得原価と残存価額として、次の記述があります。

「固定資産を購入によって取得した場合には、購入代金に買入手数料、運送費、荷役費、据付費、試運転費等の付随費用を加えて取得原価とする。但し、正当な理由がある場合には、付随費用の一部又は全部を加算しない額をもって取得原価とすることができる」


 この文書は題名のとおり「企業会計原則と関係諸法令との調整」です。この但し書きが、法人税法との調整を意味しているのではないでしょうか。すなわち、法人税法基本通達において、「当該資産の購入のために要した費用」のうち租税公課等の額を「固定資産の取得価額に算入しないことができる」されており、それは連続意見書の「正当な理由がある場合」と言えるのではないでしょうか。

 なぜ「正当な理由」なのか。企業の判断により二重課税を回避できることには合理性があると、私は考えます。もっとも、素人の私が言えるのはここまでです。公認会計士・税理士等の先生方からのご教示のコメントに期待したいと思います。

 さて、以上述べた通り、登録免許税と不動産取得税は、会計原則上は資産に加算すべきところ、税法上は「固定資産の取得価額に算入しないことができる」とされています。もし資産にしないのならば、消去法的に費用に算入することになり、不動産賃貸業の損益計算書上は、販売費及び一般管理費とすべきでしょう。

 ここで経営者の判断が必要になります。今後何年間も使っていく不動産の取得付随費用を1期で費用・損金処理することは節税になり、その分キャッシュフローは多くなります。不動産賃貸業における登録免許税・不動産取得税のインパクトはかなり大きく、節税して現預金をより多く残すことは、追加投資等事業拡大を行うためには、時として大変有意義です。

 しかし、その決算書が対外的にどう映り、その後の資金調達等にどう影響を及ぼすかも考えなければなりません。私の資産管理会社の2年目は資金調達に大変苦労しましたが、その理由は、1年目に支出した巨額な登録免許税と不動産取得税が売上を圧迫し、赤字決算となったためです。

 それはいわゆる「創業赤字」と言うべき一過性の赤字だったのですが、決算書の表面のみで財務分析をすると、赤字は赤字です。そのせいで資本金がかなり食われてしまい、純資産が乏しくなってしまいました。一方で数億円の借入金がありましたので、財務指標が物凄く悪くなったのです。

 銀行は決算書の表面よりもむしろ実態を重視します。けれど、その実態が決算書その他計算書類に入っていなければ、実態修正でプラスにしてもらいようがありません。当時の私は財務分析や格付の知識レベルが低なったこともあり、何ら手を打たず、申告書と計算書類をそのまま銀行に提出しました。その結果、登録免許税と不動産取得税が一過性の経費であるゆえに販管費から除外する実態修正がされることもなく、1年目に融資を受けた銀行からしばらく融資を受けられない時期が続いてしまいました。

 銀行は、販管費を次期以降も継続的にかかる費用と捉えます。そのため、その後の会社の収支計算の際には、販管費が過大になりすぎて、キャッシュフローが過小評価されてしまいます。その結果、「債務返済困難」といった判断がされてしまうのです。

 こうなることを回避するためには、登録免許税と不動産取得税を資産とすれば良いのですが、仮に当時それを行ったら、現預金が枯渇してしまったはずです。

 その後、私がこの問題をどう克服して現在に至っているのか、ご関心のある方は、
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posted by 石渡浩 at 16:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 税金

融資を意識した決算対策



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 久しぶりに融資の話に戻ります。

 「決算対策」は多くの会社で行われることですが、それが意味することは、会社によって異なります。納税額を抑えたい会社は節税が決算対策になります。一方、銀行など債権者から良く評価されたいという会社は、利益や純資産額を増やしたり各種財務指標の数値を良くしたりすることが決算対策となります。また、納税資金を確保しなければならない会社にとっては資金集めが決算対策となります。その他、株価をコントロールしたい会社が意図した株価を創りだすことも決算対策です。

 節税は納税額を抑えることで、税引き後キャッシュフローを増やす効果があります。一方、利益を抑えることは、金融機関の融資先に対する評価を下げる結果になりかねません。融資を受けて不動産投資をしていると、
・納税を減らして手持ち資金を多く残したい
・格付を上げて融資を受け易くしたい
の両立をはかりたいと考えるようになります。しかし、基本的に両者はトレードオフの関係になります。
 
 早いもので、私の不動産投資会社は設立後8年以上が経過し、事業年度では第10期目に入りました。私は学生時代に経営系科目(財務分析や税務会計等)をほとんど学ばなかったので、自分の会社を経営しながら実務を通して知識を少しずつ身に付けていきました。

 利益や純資産にかかわらず、現預金が不足しては会社は新たな不動産投資ができませんし、最悪倒産してしまいます。経営者として現預金の確保がまず第一となります。その上で、融資を受けやすい決算書をどう作るか、あれこれ考えてきました。その一方で、過度は納税はしたくありません。
 
 例えば、不動産取得税と登録免許税の取扱は未だ完全解決していない重要課題です。企業会計原則上、不動産取得税と登録免許税は取得費に算入されます。1億円の不動産を購入するのに300万円の仲介手数料と300万円の登録免許税と400万円の不動産取得税を払ったとします。これらいわゆる諸経費千万円は売買価格1億円と合算し、計1億1千万円が取得費となります。けれど、法人税法の通達により、これらのうち登録免許税と不動産取得税の計7百万円は取得費に算入しなくても良い、とされています。そのため、節税したいと思えば、その7百万円を資産計上しないで、固定資産税等と同様に費用計上することで、営業利益が減り、結果、法人税等が少なくなります。不動産取得税と登録免許税を会計原則に沿って資産とするよりも、税法通達を根拠に費用にしたほうが、当期のキャッシュフローは多くなります。

 けれど、営業費用に租税公課として不動産取得税と登録免許税が算入されると、そのような計算で作られた決算書を見た銀行員は、計上された租税公課が翌期以降もかかるものとして財務分析がなされ、格付を付与します。そうすると、売上に比べて費用が過大評価され、実質的な利益が過小評価されてしまいます。

 つまり、短期的な節税ができる反面、融資を受けるには不利になりがちです。この問題については3-4年前にこのブログで議論して皆様からご意見を賜りました。私が現時点でどのように乗り切っているのか、ご関心のある方は、
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posted by 石渡浩 at 04:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 税金

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